不動産投資に興味があってもある程度の資金が必要なため、なかなか一歩を踏み出せない方もいるのではないでしょうか。また「何から始めていいのかわからない」「不動産投資の注意点を知りたい」という方もいるでしょう。
そこで今回は、不動産投資の種類や初期費用、不動産投資のメリット、注意点について解説します。
不動産投資の種類
不動産投資は、一般的に戸建て、区分マンション、一棟マンションなどがあります。
また、民泊や駐車場、不動産投資信託(J-REIT)なども不動産投資の一種です。
戸建投資
一戸建てを投資用として購入し、入居希望者に賃貸する投資方法です。
マンションと同じように家賃収入を得ることが可能になります。
中古物件の価格は、立地や築年数によりますが、比較的安い傾向にあります。
また、高めの家賃で設定しやすく、利回りが高くなる傾向です。
ファミリー世帯に需要が多く、入居すると長く住んでもらえる可能性も高いです。
しかし、築年数の古い物件の場合は、修繕や管理の手間がかかります。
区分マンション投資
マンションの一室(専有部分)、または数部屋を購入して、入居希望者に賃貸する投資方法です。
マンションの一室のみを購入するのであれば、少額の資金から不動産投資を始めることができます。
また、一つのマンションで空室率が高い場合は、分散投資ができることもメリットのひとつです。
一棟マンション投資
マンションを一棟丸ごと購入し、入居希望者に賃貸する投資方法です。
初期費用が多くかかるため、金融機関から融資を受けるケースが多いでしょう。
満室になれば、多くの家賃収入が期待できます。また、区分投資と比較すると利回りも高いです。
駐車場
平面駐車場は建物を建てる場合と比べ、初期費用を抑えることができます。
また、アスファルトやコンクリートの舗装を行うと駐車場経営ができるため、
災害リスクが小さいと言えます。
民泊
アパートやマンションなどの一室を観光客などに賃貸し、家賃収入を得る投資方法です。
コロナ禍でインバウンド需要が減少していましたが、行動制限やマスクの緩和により、再びインバウンド需要が期待されています。
民泊では「人を宿泊させる日数として国土交通省令・厚生労働省令で定めるところにより算定した日数が1年間で180日を超えないものをいう」と規定されています。
また、「住宅宿泊事業法(民泊新法)」により、住宅の所在地を管轄する都道府県知事等に届け出を行わなければなりません。
不動産投資の初期費用
不動産投資の初期費用の目安としては、一般的に物件価格の8~15%程度必要です。
仲介手数料
仲介手数料は、宅地建物取引業法・国土交通省告示(第493号)で上限が定められています。
仲介手数料の上限は、以下のとおりです。
物件価格 | 仲介手数料の上限 |
---|---|
200万円未満 | 売買代金5%+消費税 |
200万円以上400万円未満 | 売買代金4%+2万円+消費税 |
400万円以上 | 売買代金3%+6万円+消費税 |
なお、仲介手数料の下限はありません。
不動産会社によっても仲介手数料の額は異なります。
不動産登記に関する費用
新築の不動産を購入した場合は所有権保存登記、中古物件を購入する際は所有権移転登記を行います。
また、住宅ローンを組んで不動産を購入する場合は、抵当権設定登記を行います。
この登記手続きの際に納付しなければならない税金(国税)です。
登録免許税の計算方法は、以下のとおりです。
登録免許税 = 課税標準金額 × 税率
登録免許税の基準となる金額(課税標準額)は、固定資産税評価額によって決められます。
住宅の所有権保存登記(中古)2%
住宅の所有権保存登記(新築)0.4%
抵当権設定登記 0.4%
ただし、建物の固定資産税評価額は、一定の要件を満たせば軽減税率1.5%(2024年3月31日まで)が適用されます。
不動産登記手続きは自分で行うことも可能ですが、必要な書類も多く、専門的な知識が必要です。
手続きを行うことが難しい場合は、司法書士に依頼します。
司法書士に依頼する際は、報酬が発生します。一般的には10万円前後かかります。
不動産取得税
不動産を取得すると、不動産取得税が発生します。(地方税)
不動産を購入後、数カ月〜半年後くらいに都道府県から「納税通知書」が届きます。不動産取得税の計算式は、以下のとおりです。
課税標準額 × 税率
課税標準額は固定資産税評価額が用いられます。
住宅でない家屋の税率は4%、土地・家屋は、特例により、2024年3月31日の取得まで
3%に引き下げられています。
印紙税
不動産売買契約書には、収入印紙を貼り、消印をすることにより納付します。
その際に印紙税(国税)が発生します。
印紙税は、2014年(平成26年)4月1日から2024年(令和6年)3月31日までに
作成された不動産売買契約書には軽減税率が適用されます。
たとえば、1千万円超〜5千万円以下:1万円、 5千万円超〜1億円以下:3万円となっています。
詳しくは、国税庁ホームページをご確認ください。
(参考:国税庁「不動産売買契約書の印紙税の軽減措置」)
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/inshi/08/10.htm
火災保険、地震保険
台風や地震などによる自然災害のリスクに対応するため、火災保険や地震保険に
加入する際にかかる費用です。火災保険や地震保険は任意ですが、建物の損傷などによる
リスクに備えて加入しておくとよいでしょう。
不動産オーナー向けの保険料相場は、年間3万円から10万円程度です。
なお、地震保険は火災保険とセットで加入する必要があります。
ローン事務手数料
不動産投資ローンを利用する際にかかる手数料です。
定額制と定率制があります。
定額制は、3万円程度が相場となっています。
定率制は、一般的に借入金額の1〜3%程度です。
不動産投資のメリット
安定収入が得られる
常に満室であれば、安定した家賃収入が得られるのもメリットの一つです。
少額資金で始められる
金融機関から借入れを行うことができれば、比較的、少額の資金で不動産投資を始められます。
生命保険の代わりになる
不動産投資ローンを利用する際は、団体信用生命保険の加入が求められます。
ローン支払い中に万が一のこと(死亡または高度障害)があった場合は、
不動産投資ローンの残債は全額清算されるため、それ以降の支払いは不要となります。
不動産投資の注意点
不動産投資では、空室リスクや家賃滞納リスクがあります。
必ずしも満室になるとは限りません。
空室が続く場合は、立地や築年数、住宅設備など、入居者が
満足するような物件であるのかを見直す必要があるでしょう。
家賃滞納に関する対応は、管理を委託している場合には、管理会社に任せるのが一般的です。
ただし、家賃滞納が長期化すれば、賃貸経営にも大きな影響が出るため、
訴訟など、何らかの対策が必要です。
まとめ
今回は、不動産投資初心者向けに初期費用やメリット、注意点などについて解説しました。
不動産オーナーになると、さまざまな専門知識が不可欠です。
管理委託する場合でも少しずつ勉強しながら、不動産に関連する法改正もチェックする必要があります。
資金に不安のある方は、不動産投資ローンを利用するのも一つの方法です。