制度の概要
後継者である相続人等(「特例経営承継相続人等」という)が相続等により、経済産業大臣の認定を受ける非上場会社の株式等を先代経営者である被相続人から取得し、その会社を経営していく場合には、その特例経営承継相続人等が納付すべき相続税のうち、その非上場株式等に係る課税価格の100%に対応する相続税の納税が猶予されます。(猶予される相続税額を「非上場株式等納税猶予税額」と言います。)
特例を受けるための要件
この特例を受けるためには、贈与税の納税猶予と同じく経営承継円滑法の基づき、会社は「経済産業大臣の認定」を受ける必要があります。「経済産業大臣の認定」を受けるためには、原則として、相続開始後8ヶ月以内にその申請を行う必要があります。
なお、すでにその会社に非上場株式等の一部について贈与税の納税猶予の特例を受けている場合には、相続または遺贈により新たに相続人等が取得した非上場株式等については、この相続税の納税猶予の特例の適用はありませんので注意してください。その他この特例を受けるためには、以下のa.からc.までの要件を満たす必要があります。
a.会社の主な要件
次のいずれにも該当しないこと。
- 上場会社
- 中小企業者に該当しない会社
- 風俗営業会社(性風俗関連特殊営業を行う会社)
- 資産管理会社(資産保有型会社または資産運用型会社)
ただし、以下の要件を満たしている資産管理会社は除きます。
- 贈与開始の日まで商品の販売・資産の貸付等を3年以上にわたり行っていること。(同族会社への貸付は除く)
- 後継者と生計を一にする親族以外の常時使用従業員が5人以上いる。
- 後継者と生計を一にする親族以外の常時使用従業員が勤務している事務所、店舗、工場等を所有または賃借していること。
- 総収入金額(営業外収益および特別利益以外のものに限る)がゼロの会社・従業員数がゼロの会社(特例の適用に係る会社の特別関係会社が一定の外国会社に該当する場合には、従業員数が5人未満の会社)
b.後継者である相続人等の主な要件(被相続人等の親族であるかどうかは問いません)
- 相続開始の日の翌日から5ヶ月を経過する日までに会社の代表権を有していること
- 相続開始の時において、後継者およびその同族関係者で総議決権数の50%超の議決権数を保有し、かつ、その同族関係者の上位者がいないこと(認定対象者が特例承継計画に記載された代表権を有する3人までに限る)
- 相続開始の直前に役員であったこと(被相続人が70歳未満で死亡した場合、特例承継計画に特例後継者として記載されている場合を除きます)
- 相続開始の時から認定申請日まで引き続き相続により取得した特例認定承継会社の株式のすべてを保有していること
c.先代経営者である被相続人の主な要件
- 会社の代表権を有していること
- 相続の開始直前において、被相続人とその同族関係者で総議決権数の50%超の議決権数を保有し、かつ、特例後継者を除いたこれらの者の中で最も多くの議決権数を保有していること
猶予税額の納付が免除される場合
後継者の死亡等があった場合には、猶予税額の全部または一部の納付が免除されます。
猶予税額を納付することとなる主な場合
特例の適用を受けた非上場株式を譲渡等した場合には、猶予税額の全部または一部について利子税を合わせて納付する必要があります。
贈与税の特例納税猶予から相続税の特例納税猶予への切替え
相続税の納税猶予の適用
株式を贈与した先代経営者が死亡した場合には、贈与税の納税猶予税額の免除届出書を提出することによって、特例経営承継受贈者が受けていた贈与税の猶予税額が免除されます。一方、先代経営者に係る相続税については、贈与税の納税猶予の特例を受けた一定の非上場株式等を特例経営承継受贈者が相続または遺贈により取得したものとみなして、贈与時の価額を基礎として他の相続財産と合算して計算することになります。この時、一定の要件を満たす場合には、その相続または遺贈により取得したとみなされた非上場株式等について相続税の納税猶予の特例を受けることができます。
都道府県知事の確認
株式を贈与した先代経営者が死亡した場合に、相続税の納税猶予の適用を受けるには、相続税の申告期限までに都道府県知事の確認を受ける必要があります。この切替え確認を受けるには、贈与者の死亡の日の翌日から8ヶ月以内に、都道府県知事に切替え確認申請書を提出する必要があります。
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