役員退職金を使って自社株を円滑に承継する方法

非上場企業の自社株承継は、中小企業やオーナー企業・同族会社にとって避けて通れない重要な課題です。経営者が引退する際、次世代への株式の引き継ぎを円滑に行うためには、計画的な準備が必要です。その中で、役員退職金は、経営者が長年の功績に対して受け取る重要な報酬です。この退職金を効果的に活用することで、自社株承継をスムーズに行うことが可能となります。

本記事では、役員退職金を使って自社株を円滑に承継する方法について詳しく解説します。具体的な活用方法からリスク管理、実際の事例までを網羅し、読者の皆様が自社株承継を成功させるためのヒントを提供します。この記事を通じて、自社株承継の準備を万全に整え、未来のビジネスの安定を図りましょう。

目次

役員退職金利用するメリット

役員退職金を利用することで得られるメリットは多岐にわたります。まず、税制面での優遇措置があります。役員退職金は、通常の給与所得と異なり、退職所得として扱われます。これにより、所得税の課税対象額が大幅に減少し、税負担を軽減することができます。

さらに、生前退職金の支払いは、会社利益を減少させるとともに純資産価値を減少(内部留保の取り崩し)させるため類似業種比準価額方式、純資産価額方式ともに自社株の評価を引き下げる効果があります。会社規模の判定により大会社となりその会社の株式を類似業種比準価額方式のみにより評価する場合は、その引き下げ効果は大きくなります。

類似業種比準価額方式については、直前期の利益等の数値を基に算出するため、直前期に役員退職金を支給し多額な損失を計上するような場合は、役員退職金支給の翌期1年間は株式を後継者に承継するベストなタイミングになります。

法人所得の計算上、適正な範囲内の退職金であれば損金算入が可能です。
法人税等の負担が軽減されます。

具体的な活用方法

役員退職金を効果的に活用するためには、計画的な積立が重要です。退職金の積立を早期から始めることで、経営者の退職時に十分な資金を確保することができます。支払原資が不足する場合は、借入金でまかなうことになります。金利負担の増大により経営を圧迫しないよう注意してください。役員退職金支払いには法人税上の制約がありますので不相当にに高額にならないようにしましょう。
実務上は以下の算式により計算された金額が目安とされています。

支給限度額=最終月額報酬×役員勤続年数×功績倍率
※あらかじめ役員退職金支給規定などを作成し社内に配備しておきましょう。

役員退職金として支給する額が適正であることを確認し、不適切な金額設定による税務リスクを避けることが必要です。また支給額の決定については、定時株主総会・臨時株主総会において役員退職金の決議が必要です。

生前退職金をそのまま預金して相続税の納税資金として保有することも可能ですがあらたな相続財産を
増加させることになります。この資金を活用して収益不動産等を購入するなどして、別の相続対策を
行うことが重要です。

自社株承継におけるリスク管理

自社株承継には法的なリスクが伴います。例えば、相続争いなどのトラブルを避けるためには、事前に法的な手続きをしっかりと行うことが重要です。また、事業承継計画の立案も欠かせません。計画的な承継を実現するためには、経営者、後継者、そして専門家の協力が必要です。

専門家の活用も有効な手段です。税理士や弁護士、司法書士、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談することで、法的リスクや税務リスクを回避し、円滑な株式承継を実現することができます。

具体的な進め方

役員退職金を活用した自社株承継は、計画的かつ戦略的に行うことで、多くのメリットを享受することができます。具体的なアクションプランとしては、まず退職金の積立を開始し、適正な額を設定することが重要です。また、事業承継計画を立案し、専門家の助言を受けながら、法的手続きを確実に進めていくことが必要です。

今後の動向を注視しつつ、適切な対策を講じることで、経営の継続性と企業の安定を図ることができます。役員退職金を活用した自社株承継の重要性を再確認し、今すぐ具体的なステップを踏み出しましょう。

まとめ

役員退職金を活用した自社株承継は、中小企業や同族会社にとって極めて重要な課題です。この記事では、役員退職金を利用するメリット、具体的な活用方法、リスク管理の方法を解説しました。役員退職金を計画的に積み立て、税務上の注意点を押さえながら、専門家の助言を受けて法的リスクを回避することで、円滑な自社株承継を実現できます。企業の未来を見据え、今すぐ具体的なステップを踏み出しましょう。

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この記事を書いた人

不動産業界で20年以上のキャリアを積んでいます。特に企業向けの不動産ソリューションにおいて豊富な経験を持ち、クライアントの資産形成と節税戦略を専門としています。最近は業界最先端のAIツールを活用し投資の安全性を高めています。

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